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ゲームはどうやって作られる?ゲームクリエイターの仕事徹底解説


ゲームやマンガ、アニメが「クールジャパン」と呼ばれる日本文化の一つとして世界に発信されている今、将来の職業として「ゲームクリエイター」を志望する学生が増えています。大学や専門学校にゲーム関連の学科ができたり、高校でプログラミング授業が必修化されたりと、教育関係者からも注目されている分野です。ゲーム好きな学生にとって、実績がある有名ゲームクリエイターは憧れの的。人気ゲームはどうやって作られるのか、ゲームクリエイターの仕事内容を解説します。

業界で活躍するゲームクリエイターとは?

ゲームクリエイターとは

「ゲームクリエイター」は、ゲームソフトやアプリゲームなどゲーム制作に関わる人の総称です。ユーザーを夢中にさせる企画力、人々を惹きつける音楽やシナリオ、画力が必要なキャラクターデザイン、高度なプログラミング能力と、ゲーム制作には多彩な能力が必要です。ゲーム業界で働く人々は、何かひとつキラッと輝くものを武器とする専門家たち。ゲームクリエイターという総称は、ゲーム制作のスペシャリスト集団を意味する言葉でもあるのです。

知っておきたい!業界で活躍するゲームクリエイター

日本のみならず、国際的にも有名になるほど影響力があるゲームクリエイター。ゲーム業界を目指す上で知っておいてほしいゲームクリエイターをご紹介します。

岩田聡(1959~2015年)
任天堂第4代代表取締役社長をつとめ、1980年代の「バルーンファイト」や「エッガーランド」、1990年代から続く「星のカービィ」シリーズ、「ポケモンスタジアム」「ポケモンスナップ」などのポケモンシリーズなど、多くのゲームに関わった方です。「私は代表取締役社長です。頭の中ではゲーム開発者です。でも、心の中ではゲーマーです。」という言葉を残しています。

宮本茂(1952年~、ゲームプロデューサー)
岩田氏と同じく任天堂に所属し、「スーパーマリオブラザーズ」をはじめとするマリオシリーズの生みの親。「ゼルタの伝説」「ドンキーコング」シリーズも有名です。

小島秀夫(1963年~、ゲームデザイナー)
「スーパーマリオブラザーズ」に影響を受けてゲームクリエイターを目指したという小島秀夫氏は、「メタルギア」シリーズや「DEATH STRANDING」を生み出しました。活動内容は幅広く、映画や書籍関連での仕事も多数あります。

野村哲也(1970年~、イラストレーター・アニメーション監督)
スクエア・エニックスに入社後、「ファイナルファンタジーⅦ」のキャラクターデザインを担当。「キングダムハーツ」のディレクターや「スーパーマリオRPG」のデザインにも関わっています。

堀井雄二(1954~、ゲームデザイナー)
「ドラゴンクエスト」シリーズのゲームデザイナーおよびシナリオライターです。ゲームクリエイターが注目されるようになったのは、社会現象を起こすほど人気となった「ドラクエ」の影響といえます。

櫻井政博(1970~、ゲームディレクター)
「星のカービィ」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」を生み出したゲームクリエイターです。企画から完成までの流れをディレクションするゲームディレクターを主な仕事としています。

他にも世界から注目される日本のゲームクリエイターは多数おり、「プロデューサー」や「デザイナー」、「シナリオライター」など専門分野を持っています。ゲーム業界への就職を希望するなら、今遊んでいるゲームも「どんな人が作ったのだろう?」と興味を持って調べることもオススメします。

ゲームクリエイターとゲームプログラマーの違い

ゲームプログラマーとは

ゲーム制作に関わる人の総称として使われる「ゲームクリエイター」に対し、「ゲームプログラマー」は開発言語を駆使して企画書や仕様書通りにプログラミングする人を指します。斬新な発想やアイデアはゲームプログラマーが実際にプログラミングすることで実現します。「Unity」や「Unreal Engine」、「Cocos2d-x」などのゲームエンジン、「C++」・「C#」・「Java」・「Python」・「Ruby」といったプログラミング言語を使いこなす高度なスキルが求められ、構成要素を加えながら制作を行います。

ゲーム開発の工程を知ろう

ゲームプログラマーのようにゲーム開発では工程ごとに役割が決まっており、専門知識を存分に活かせるメリットがあります。ゲームはどのように作られるのか、制作過程を見ていきましょう。

【企画】

新たなゲームの企画やコンセプト、キャラクターや音楽などをゼロから作り上げていきます。ワクワクするゲームに夢は大きく膨らむものの、マーケティングや予算を組むことも必須。ユーザーのニーズをリサーチし、限られた予算内でスタッフ構成や開発期間、制作期間を決めていきます。広告・宣伝方法や販売戦略といった先を見据えての話し合いも企画段階でしておく必要があり、企画段階でボツとなることも珍しくありません。他社が開発したゲームの模倣になっていないか、著作権侵害にあたらないかを企画段階で確認しておくことも必要です。

●全体責任者
・ゲームプロデューサー
・ゲームディレクター

ゲーム制作はプロジェクトチームとして動くことが多いため、全体を把握して指揮をとる監督の役割は「ゲームプロデューサー」と呼ばれます。良いゲームを作るためには予算も必要となり、お金の工面やメディア等との交渉といったマネジメントもプロデューサーの仕事。プロデューサーの元で制作現場を束ねる役割は「ゲームディレクター」と呼ばれます。プロデューサーと相談しながら日程管理や進捗状況の把握を行い、プログラマーやサウンドクリエイターといった制作陣へ指示を出していきます。

●ゲームの内容を考える
・ゲームプランナー
・シナリオライター など

ゲームプランナーはゲーム全体のコンセプトや構成の一部のプランニングをしていく仕事です。所属ゲーム会社の意向やスポンサーの要望なども取り入れながら、新たなゲームの「仕様書」を作成します。方向性を決め、ストーリーやキャラクター設定、ゲーム展開、キャラクターのセリフなどをシナリオライターとともに作り上げていきます。近年ではストーリー性が重要視されるRPGも人気となっており、シナリオの質が売上を左右すると言えるでしょう。

【設計】

●プログラム設計・コーディング
・ゲームプログラマー
・サーバープログラマー など

ゲームエンジンや開発言語、サーバーなど開発に必要な基盤を決めていきます。仕様書をもとに実際にプログラムする段階です。ゲームプログラマーは、ゲームの動作や機能をプログラム化し、スムーズなゲームプレイ体験を提供するための「コーディング」を行います。ゲーム内のキャラクターやオブジェクトの移動や攻撃、AIで動かす敵キャラクターなどが含まれ、スコア計算やクエストの進行などもコーディング作業の一部です。サーバープログラマーは、オンラインゲームのバックエンドを管理し、プレイヤー同士の接続やデータ処理を担当します。

●原画デザイン・音楽の制作
・CGデザイナー/3DCGデザイナー
・エフェクトデザイナー
・ゲームグラフィックデザイナー
・サウンドクリエイター など

キャラクターを描くデザイナーは「キービジュアル」と呼ばれるイメージ画像を制作し、修正を行います。視覚的な魅力や没入感のある映像はゲーム制作に欠かせない要素です。キャラクターや背景などのCG素材、特殊効果やビジュアルエフェクトなど、それぞれの専門領域を活かしてデザインを行います。サウンドクリエイターはゲームに最適な音楽や効果音などを作り出し、命を吹き込んでいきます。ゲームは国境を超えて楽しめるものであり、「ドラゴンクエスト」のテーマ曲のように、世界中のユーザーから愛される曲が生まれることも。人々が感動し、ゲームにのめりこめるかどうかは、キャラクターや音楽などの世界観にかかっているともいえます。

【実装・テスト】

・ゲームプログラマー
・テストエンジニア
・デバッカー など

ゲームとして動かせる試験版をいよいよ作り出していく段階です。主要キャラクターや構成場面などメイン要素で作り上げる「アルファ版」でテストを行い、修正を加えながら、すべてのキャラクターや細かなアイテム設定などをすべて含めた「ベータ版」を制作します。この段階で大切なことは「ユーザーが困ることなく、初心者でも楽しめるものになっているかどうか」。何をすればよいかわらかなくなったり、不具合が起きたりしないかどうかを確認し、一つひとつ修正していくことを「デバック作業」といいます。ストレスなく遊べることが良いゲームの条件であり、ユーザーにとっては当たり前のこと。追加で機能を増やすことはなく、完成度を高めていきます。

開発工程は分業制!求められるスキルの違い

企画・設計・実装・テスト・販売と、いわばゲーム業界は「分業制」。ゲーム制作関連会社も多数存在し、工程によって求められるスキルが異なります。

企画で求められるスキル

新たなゲームを生み出すための発想力や企画力に加え、ユーザーのニーズを見極める冷静な判断力やデータ分析能力といったビジネスの基本も必要です。企業内での会議やスポンサーへプレゼンテーションを行うことも多く、言語化能力や表現力も求められます。ゲーム以外の視点で世の中を広く俯瞰し、最先端の情報や流行を察知する敏感さも重要です。フリーランスとして働くこともできますが、ゲーム会社や関連企業へ就職して働くことがほとんど。営業・販売部門とのコミュニケーションも必須となります。新たなゲームは作る人の幅広い知見や体験、総合的な人間力から生まれるものでもあるのです。

設計で求められるスキル

設計段階では、プログラミングやサウンドクリエイトといったクリエイティブな作業が続きます。プログラミングには論理的思考や集中力などのスキルはもちろん、ミスやエラーに対する解決能力、新たな技術への知的好奇心、そしてパソコンやITへの興味が尽きないことも大切です。

実装・テストで求められるスキル

テスト段階ではデバッカーの仕事が重要な役割を果たします。試作のゲームで実際に遊び、スムーズに動くかどうか、違和感や間違いがないかを地道に探していく作業です。根気のいるデバッカーは集中力や自分でモチベーションを維持する力が必要です。また、バグや自分が感じたことを報告する言語化力やコミュニケーション能力のある人材が適しています。
プログラマーが想定していない使い方をすることもよいゲームを作るためには必要となり、柔軟な発想や想像力があればなお良いでしょう。プログラミングを理解していればバグの発生予測もできるため、エンジニアやプログラマー経験のあるデバッカーは業界で重宝されています。

おわりに

本記事ではゲームクリエイターとゲーム制作の工程についてご紹介しました。

ゲーム業界で働く「ゲームクリエイター」にはさまざまな仕事があります。技術者としてプログラミングやキャラクターデザインにコツコツ向き合うのか、キャリアを積み、プロジェクトチームの指揮をとるのか。進路の選択肢としてゲーム業界への就職やフリーランスの道を考えているなら、基礎となるプログラミング言語やデザインを学ぶことは必須。あなたの素質や強みを見極め、次世代のゲームクリエイターとしてどの工程に関わっていきたいかを考えていきましょう。