
生成AIを活用したさまざまなサービスが身近になっています。カスタマーサポートでの自動応答、ネットショッピングでのレビューの要約、翻訳アプリや記事の要約機能など、気づかないうちにAIの技術を利用している場面は少なくありません。こうした便利さが広がる一方で、「人間の仕事がAIに置き換えられてしまうのでは」と心配する声も増えています。自分もAIを使えるようになったほうが将来のキャリアに有利なのではないかと感じる人もいるでしょう。ただ、興味はあっても「難しそうでなかなか始められない」という不安もあるはずです。
しかし心配する必要はありません。生成AIの技術は確かに高度ですが、誰でも少しずつ取り入れることができます。このコラムでは、生成AIの進化によって予想される未来や、これからAIを学びたいと思う人へのアドバイスをお伝えします。
生成AIの進化は止まらない(シンギュラリティ/2045年問題について)
シンギュラリティとは?予測される未来
シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人間の知能を超えるとされる転換点のことです。日本語で「技術的特異点」とも呼ばれます。コンピュータの処理能力が加速度的に伸びることにより、やがて人間には追いつけないスピードで自己進化を繰り返すのではないかと予測されているのです。この転換期を境に社会のあり方が根本から変化すると分析する研究者もいます。
特に生成AIの進化によって、シンギュラリティが到来する可能性は高くなったといえるでしょう。プログラムのコードや分析レポートの作成はもちろん、文章や画像、動画の生成も容易にできるようになりました。さらには科学研究や医療支援など、幅広い分野で導入が進んでいます。
2045年問題から考える社会の在り方
このシンギュラリティが2045年に訪れるとする説は、発明家のレイ・カーツワイル氏が提唱したことで広まりました。コンピュータの計算能力が数十年単位で急速に向上しているという統計に基づいた予測です。AIが人間の知能を超えることで雇用の喪失や社会システムの混乱、倫理的な問題が生じるのではないかという懸念から、「2045年問題」という言葉で関心を集めています。
予測される問題は数多くありますが、その中でも「雇用の喪失」を最初に思い浮べる人が多いでしょう。事務作業や翻訳、分析業務などはすでにAIが代替し始めていますが、今後は他の職種にも影響が及ぶ可能性があります。これにより職種の再編が進み、一部の人は新しいスキルを身につけなければ仕事を失うリスクに直面します。
2045年という時期そのものには賛否があり、ある調査では「もっと早く到来する」とする意見もあれば、「そもそも訪れない」と考える研究者もいます。重要なのは具体的な年ではなく、シンギュラリティが社会の仕組みに大きな影響を与える可能性があるという点です。「2045年問題」という言葉はその象徴であり、AIの進化によるメリットとデメリットの両面を考慮し、社会の在り方を考える必要があります。
生成AIが社会や仕事に与える影響
生成AIの発展は、すでに普段の暮らしの中や多くの職業にひろがっています。一時的な流行ではなく、今後も技術が進化し続けることを前提に社会に取り入れられているのです。
私たちの生活基盤を維持するために不可欠な職種である医療や介護、物流などの分野では、診断支援システムや作業効率化ツールとして実証実験や部分的な導入が進んでいます。病院においては画像診断の補助や治療計画の提案、介護施設では入居者の行動をモニタリングして転倒リスクを検知するシステムなど、さまざまな場面で成果をあげています。社会の基盤を守る職業において、AIは重要な役割を果たすようになってきています。
新しい価値を創造するために独自の感性や発想力が求められるクリエイティブな分野では、広告の企画やデザイン、動画や音楽の制作過程に活用されています。ECサイトの商品写真をAIで生成することにより撮影コストを削減したり、音楽制作ではAIにアレンジを任せて作曲者は表現に集中するなど、これまで人がしていた工程を補完するようになりました。これは人々の生活や文化を豊かにするものであり、生成AIが多方面で役立つ存在であることを示しています。
しかし「2045年問題」という言葉に表れているように、さまざまな課題も残されています。AIによって自動化できる領域が増えると、人間に求められる役割も大きく変わっていきます。単純な事務処理や定型作業にはAIの導入がさらに進み、それに対し人間には「新しい価値を生み出す企画力」や「社会的影響を考慮した判断力」、「他者と協力して課題を解決する力」といったスキルがより強く求められるでしょう。AIの活用方法を決定し責任を負うのは人間です。今後の教育やキャリア形成では、このような力をどう育んでいくかが重要になります。
「難しそう」と思う人へ!ゼロから学ぶ方法
まずは無料で試せる生成AIツールから
生成AIを学ぶ第一歩として、手軽に使える無料のツールを試してみるのがよいでしょう。画像生成や文章生成など、多くのサービスには体験版が用意されています。難しい操作を覚える前に実際に触れてみると、仕組みや使い方を直感的に理解しやすくなります。IT分野に詳しくない人でも、アプリを開いて入力するだけで成果を得ることができます。
代表的なサービスにChatGPTがあります。無料版でも、一度に処理できる文字数(トークン)の制限はありますが、文章や画像の生成、要約、質問への回答など、有料版と同様の機能を試すことができます。「どんなことができるのか」を知るには十分な環境であり、実際に使うことでAIとの関わり方を具体的にイメージできるでしょう。ただし一定時間内での処理量に制限があるため、大量の処理が必要な作業には不向きです。そのような場合には有料のProプランに加入すると最新の高度なモデルを利用することができます。習熟度合いや目的に合ったツールを使うことにより、学習の効率を上げることができます。

基本スキルを身につけるための学習ステップ
ツールに少しずつ慣れてきたら、体系的に学ぶ方法を検討しましょう。書籍やオンライン講座では「生成AIとは何か」という基礎から、プロンプトの工夫や活用例まで学ぶことができます。学校や専門学校の授業でも、AIを活用したカリキュラムが増えています。仙台デザイン&テクノロジー専門学校では、AIの基礎となる数学やプログラミング、機械学習などの先端技術までを網羅的に習得できる実践的なカリキュラムを展開しています。また「Wメジャーカリキュラム」を通じて他専攻の授業を選択することにより、AIをクリエイティブな課題解決のツールとして使いこなす技術を身に着けることができます。
つまずきやすいポイントとその解決策
学習を始めると、「専門用語が難しい」「理解が追いつかない」と感じることがあります。こうした壁に直面したときは、学習範囲を小さく区切り、できるところから進めるのが効果的です。例えば生成AIの仕組みをすべて理解しようとするのではなく、「テキスト入力と結果の確認」というシンプルな部分に集中すると学びやすくなります。授業や教材に沿って段階的に理解を積み重ねることで、不安を和らげることができます。
またオンライン講座の中には、ネットワーク上で質疑応答が可能なサポート体制を整えている組織もあります。疑問点をスタッフに相談したり他の受講者と共有できる仕組みを利用すると、一人で学んでいても安心して継続できるでしょう。
独学?スクール?自分に合った学び方を選ぶコツ
ご紹介したように、AIの学び方にはさまざまな方法があります。独学は自由度が高く、自分のペースで進められるのが利点です。一方で専門学校のカリキュラムは体系立てて知識を整理でき、授業を通じて仲間や講師から刺激を受けられる点が強みです。また、リスキリング支援や企業研修を実施する会社に勤めている場合には、その制度を利用して働きながら学ぶことも可能です。目的や生活スタイルに応じて、自分に合った学び方を選ぶことが継続の鍵となります。
高校生・10代&20代が今から始めるべきこと
学校の勉強とAIスキルアップをどう両立させる?
高校生の段階では、基礎学力を大切にしつつ生成AIを少しずつ取り入れるのがおすすめです。例えば、AIを使って勉強の苦手分野に合わせたオリジナル問題を生成することができます。「選択式問題」や「穴埋め問題」というような出題形式から問題の難易度まで、自分の学力に合わせて即座に作問することが可能です。身近な学習にAIを活用することで、学校の勉強と並行してAIスキルを磨くことができます。
他にも作文やレポートのアイディア出し、部活動のトレーニングメニューの作成など、学習以外のさまざまな場面で生成AIを取り入れることができます。
学業を含む学校での活動にAIを活用できる人は、情報を効率よく収集してそれを活用できる有望な人材といえるでしょう。勉学を続けるか社会に出るかどちらの場合においても、新しい知識を素早く吸収できる力が強みになります。
ポートフォリオを作ってスキルを「見える化」しよう
学んだ知識やスキルは、少しずつ記録に残していくことが大切です。生成AIを活用して制作した作品をまとめておくと、自分のスキルを客観的に示せる「ポートフォリオ」になります。これは就職活動やインターンシップの応募の際に大きな武器となります。
ポートフォリオがあると、「自分はどんな分野に強いのか」を他者に伝えやすくなります。クリエイティブ系の職業だけではなくエンジニアやビジネス職でも、自分のスキルを形にして示すことができれば、納得のできる評価に結びつくでしょう。

将来につながる!インターンやコンテストへの参加
自分の得意な分野を見つけられたら、インターンやコンテストに挑戦するのもよい経験になります。実際のプロジェクトや課題に取り組むことで、学んだ知識をどのように役立てられるかをリアルに感じることができます。コンテストでは全国から参加者が集まるため、自分のレベルを相対的に知る機会にもなります。
これらの活動を通じて、同じ目標を持つ仲間との交流が刺激となり、学びのモチベーションを高めてくれます。また「社会で通用する経験」として履歴書や面接で訴求することができ、将来の就職にも直結します。
仲間と学ぶことで得られる成長と刺激
同じ世代の仲間と一緒に学ぶことには特別な価値があります。似ている環境から生じた疑問点を共有したり、新しいアイデアを出し合ったりすることで、一人では気づけなかった視点を得られるからです。学校の授業に加えて勉強会に参加したり、独学の場合でもオンライン等のコミュニティを通じて積極的に仲間と学ぶ姿勢は、将来の協働スキルだけではなく幅広い人脈にもつながります。
こうしたスタンスの継続は、社会に出てからも「協力して成果を出す力」となり活きてきます。生成AIは一人で扱える便利なツールです。だからこそ、それを活用して仲間と一緒に成長できる人材が今後ますます求められるでしょう。
おわりに
生成AIは進化のスピードが速く、学び方や活用方法も日々更新されています。今後も加速度的に発展すると予測されているので、学んでみたいと思った「今、その時」から挑戦することには十分な意味があります。大きな目標を立てなくても、気になるツールを試す、授業で少し活用してみるといった小さな一歩が、将来のキャリアにつながります。
生成AIスキルを習得する方法は多様です。無料で使えるサービスに触れることから始めてもよいですし、学校や専門学校、社会人向け講座で体系的に学ぶこともできます。どの方法を選んでも知識を得て終わりではなく、向上心をもち続ける姿勢が次への成長の基盤になります。
今は知識が浅いと感じていても、学びを継続することで着実に理解が深まります。そして、AIをうまく活用するスキルを身につけた人は、将来どのような仕事に就いても新しい知識を吸収し、変化に柔軟に対応できる存在になれるでしょう。これからの時代に求められるのは、まさにそうした人材です。








