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ITビジネスで大注目!データマイニングとAIの関係


インターネットを通して、いつでも、どこでも、世界中の誰とでもつながることができる今、日々大量のデータがインターネット上でやりとりされています。それらは「ビッグデータ」とも呼ばれ、SNSやブログなど普段パソコンやスマートフォンでよく目にするようなテキスト(文字)などもビッグデータの一部です。そんな大量のデータから規則性や隠された意図、新しい知識や予測につながるヒントを見出す技術を「データマイニング」といいます。AIの進化に伴ってデータマイニングはビジネスに大きな変化をもたらしており、今後もますます注目されていく分野です。今回の記事ではデータマイニングの基礎やメリット、AIとの関係をお伝えいたします。

データマイニングとは

データマイニングとは

商品購入時の価格や日時、申込み時の年齢や性別、SNSで一番つぶやかれた言葉など、インターネット上には大量のデータが存在しています。通信機能が備わった機器が増えたこともあり、企業が膨大なデータを取得できる時代になっています。「ビッグデータ」の中からテーマや調べたいことに沿って有効な情報を絞り込んだり、新たな規則性を発見したりする手法を「データマイニング」と呼びます。最新のテクノロジーによって膨大な量のデータ収集や分析が可能となり、企業やビジネスで活用できるようになりました。好みや嗜好の差はあれ、ビッグデータをもとに大まかな傾向把握や予測ができるようになったのです。

データマイニングの方法

「マイニング」とは「発掘」の意味をもち、統計学やAI(人工知能)の技術を生かし、新たな知識や法則を見出すことです。コンピューターの機能や容量が大きく進化し、10年前に比べても扱えるデータ量は爆発的に増えました。データ分析の技術が高くなったとはいえ、膨大なデータからキラリと光る法則性や関連性を見つけることは至難の業。不要なデータの除去や正しい仮説を立てるなどの作業を行い、導き出されたデータの結果を目的に合わせて正しく使用することが大切です。

  1. ①データ取得・収集
  2. ②クレンジング(不要なデータ削除)
  3. ③前処理
  4. ④結果
  5. ⑤後処理
  6. ⑥運用システムやビジネスへの利用

データマイニングの種類

膨大なデータを扱うデータマイニングは、「仮説検証」と「知識発見」という2種類の分析手法に分けられます。

●仮説が先!「仮説検証」
「もしかしたら、〇〇という傾向にあるのでは?」という仮説をもとに、立証するために必要なデータを収集・分析する方法を「仮説検証」と呼びます。論文でも使われる方法であり、結果と要因それぞれの数値から関係性を明らかにする「回帰分析」が主流です。限られた数のデータでも因果関係や相関関係を見出すことが可能です。

●仮説不要!「知識発見」
仮説がなくても大量のデータから一定のパターンや類似性などを発見し、ビジネスや研究に有益な情報を提示します。あらかじめ学習させたAIやコンピューターにデータを入れ、対象となるものの規則性や傾向を発見する「機械学習」や、さらに深く掘り下げる「ディープラーニング」という方法があります。技術の進歩によって自動的に行うことができ、人間が気づかないことも発見できるため、ビッグデータの活用に最適な方法といえます。

データマイニングとデータサイエンスの違い

大量のデータ活用については「データサイエンス」という考え方も浸透しており、今も広く使われています。課題の絞り込みや仮説立案、データ収集、分析、データ化(グラフや表などで可視化)、結果をもとにした情報活用といった流れはほぼ同じといえます。

データマイニングの場合、データ化の部分において、不要なデータの削除(データクレンジング)や前処理、結果検証を運用システムに落とし込めるようにする作業などが加わります。美味しい料理を作るために下処理が必要なように、扱うデータ量が多いからこその作業を含んでいるのが「データマイニング」です。

数値ではなく言葉を分析「テキストマイニング」

これまで「分析」といえばエクセルを使ったデータ整理やグラフ化がメインでした。しかし、IT技術の発展により、数値ではなく文字や言葉といったテキストの分析「テキストマイニング」が可能になったことは大きな変化です。ブログやSNSへの書き込み、ネット上で配信される膨大なニュース記事、さらに研究論文や小説などもテキストデータとして扱われます。数値化できるもの、数値化できない感覚的なもの、それらをビッグデータとして活用するデータマイニングは、文部科学省が力を入れている分野でもあります。日常的に使われている言葉からその時代の傾向や人々の関心を探り、新たなニーズを発見してビジネスに活かす。最新技術がビジネスに変化と革新を生み出すきっかけとなっています。

データマイニングがビジネスにもたらす変化

データマイニングの活用例

データマイニングはビジネスの現場ですでに活用されており、知らず知らずのうちにあなたもデータマイニングを活用したサービスを受けているかもしれません。スマートフォンやパソコン等で動画サイトを視聴していると、好みの動画や気になる広告ばかり流れてくるということはありませんか。過去にどのような動画を見ているかを分析し、年代や地域性も掛け合わせて、顧客の興味を引くようなオススメ動画や広告をピックアップする。普段当たり前のように見ているものも、実はデータマイニングの活用によるものなのです。

*お金に関すること
ローン審査や顧客管理、投資予測など、金融業界における顧客データはとても重要なものです。既存の顧客へどのような商品を勧めればよいかといった予測や対策、市場リスク、さらに盗難やスキミング対策としても活用されています。AIを使った投資も認知されはじめ、特に金融業はデータマイニングを最大限に活用できる業界の一つとなっています。

*販売・流通・商品管理に関すること
顧客の年齢・買った日付・時間帯・その日の天候・価格などあらゆるデータを分析して活用することで、打ち出すキャンペーンの方向性やターゲットの特定をすることが可能です。マーケティング戦略に活かすことで仕入れや在庫管理を適切に行うことができ、結果的に利益の増加やフードロス等につながります。

*医療に関すること
何らかの症状が出たとき、医師の経験や感覚だけで病名を診断するのではなく、データマイニングを活用することで過去の膨大な客観的データから診断を行うことができます。基礎疾患の有無や薬の服用、遺伝子データなどさまざまなデータをかけあわせ、より正確性の高い診断につながります。

*製造に関すること
データマイニングは製造業にも活用されており、製造機械のメンテナンス時期や故障の原因把握などに使われています。過去のデータから故障しやすい原因がわかれば、新たな設計にも役立ち、結果的に作業全体の効率アップや経費削減にも貢献。環境整備に欠かせないツールとなっています。

*人間関係に関すること
「マッチングアプリ」のように、理想のパートナーを探すときにもデータマイニングが使われています。「趣味や価値観の合う人」も、過去のデータ分析を活かすことで客観的データとしてお勧めできる人物をピックアップ。共通点を探したり理解を深めたりする時間やプロセスを省くことができます。

データマイニングのメリット

データマイニングの発展により、ビジネス現場や仕事の方法が変わりつつあります。主なメリットとして挙げられるのは次の3つです。

1)購買につながる新たなデータを把握できる
どんなに優秀なビジネスパーソンでも、勘や過去の経験値だけでは適切な予測やプランの提案ができません。顧客情報や商品詳細の分析によって導かれたデータから売上につながるヒントや切り口を見出し、売上改善や新たなビジネスにつなげることができます。

2)クレーム減少や品質向上につながる
故障のデータや過去のクレームを分析することで品質改善につなげ、よりよいサービスを提供することができます。製品やサービスの特徴、魅力、改善点などをデータとして見ることで、より客観的な視点でビジネスを進めることができます。

3)顧客の潜在的ニーズや傾向を把握できる
「またここで買いたい」「もっと違う商品も見てみたい」と思ってもらえるためには、顧客の購入商品や行動データから読み取れる傾向を把握し、適切なアプローチをすることが必要です。データマイニングによって顧客管理がより正確になり、リピーターの確保や新規顧客の獲得へとつなげることができます。

その他、適切なマーケット活動やプロジェクトを遂行し、導き出された結果を有効的に活用することでコスト削減にもつながります。今後、企業や団体のビジネス活動において、データマイニングは必要不可欠となると考えられています。

AIとデータマイニング

機械学習が得意なAI(人工知能)は、データの量が膨大になったときこそ力を発揮します。
ビッグデータから自動的にパターンや傾向を読み取り、仮説不要で分析結果を「発見」することが可能です。データマイニングとAIは関連性があるため、ビジネス現場ではAIを理解している人間が必要です。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を進める日本において、データマイニングが普及しはじめたとはいえ、AIやデータマイニングを使いこなせる人材が不足しているという現状です。

これまでもデータ分析の専門家として「データサイエンティスト」という職業がありました。今後はさらにAIを活用できるよう、「AIデータサイエンティスト」や「AIエンジニア」といった高度なスキルを持つ人材が求められてきます。経験値や感情論ではなく、データに基づいた分析や論理的思考、問題解決能力などを備えた人材がますます必要とされます。AIやデータ分析を極めることは、今後の社会人生活の強みになるといえるでしょう。

おわりに

本記事では、ビジネスで活用されている「データマイニング」についてお伝えしました。

人間の苦手な部分や不可能な側面を補ってくれるAIを活用し、コンピューターにできることを使って新たなビジネスに発展させていくことが可能です。デジタル化の浸透で生活もビジネスも大きく変化していく社会において、データ分析やAIを使いこなせるスペシャリストを目指していきましょう。